急にやってきたリモートマネジメントについて考える(参考書籍:成長企業はなぜ、OKRを使うのか?)

日本が、いや全世界が準備する期間もなく大リモートワーク時代の幕が開けた今、在宅で途方にくれているマネージャーが多いのではないでしょうか?

僕自身も例外ではなく、やはり従来の方法ではかなわいことをこの1ヶ月で強く認識し、改めてマネージャーの役割を見直してます。その一つとして、「目標設定」の在り方あれこれ考えてます。目標設定の仕方は1年をとうして影響を与える大きな要素であり、かつこの時期だからこそしっかり考えたいテーマです。

 

KPIとOKR

従来、目標設定の手法として日本の企業で多く取り入れられているのが「KPI」があります。ビジネスをやっていて聞いたことがない人は少ないかと思います。一方で、最近では「OKR」という概念が広まってきました。

KPIとは本来到達したいゴールに向けて明らかに相関性のある指標を目標として設定する方法です。定量的な指標が置かれることが特徴です。また、その数字自体が賞与などの評価制度と一体であることが多く、たいていはこの数字を追いかけるのが各メンバーの主な仕事になります。

これに対してOKRはobject と Key result で構成され、実現する姿を明確にし(object )、その姿を実現できている状態とはどういう状態か(Key result)ということを具体的にして設定する目標設計のことを言います。KPIと比較したときは、より定性的な要素が重視されることと、定量的な目標は各メンバーごとだったり、組織ごとに柔軟に設定されることが特徴です。

『成長企業はなぜ、OKRを使うのか?』では下記のように説明されておりました。

 最大の違いは、その目的です。KPIでは何よりも目標に対する達成状況を測定・把握して人を管理します。これに対して、OKRの目的は、組織やチームの目標に向けてメンバー各自が自発的に目標を立てて、具体的なアクションを起こすことです。

 

OKRには1on1で対応する

OKRのことを勉強し始めて間もないですが、どうやらポイントは下記の3点にありそうです。

1)目的が第一で、そのために必要な定量目標はいつでも修正してよい

2)故に、トップダウンではなくボトムアップ型の方法論

3)かつ、それをオープンの場で行うことで共有性が高い

こうしたメンバーの自発的な行動設計を前提とした取り組みについては、メンバーの素養やモチベーションが大きく影響するかと思います。つまり、成長意欲が強く自発性の強いメンバーからしたら歓迎される設計で(かくありたいものですが)、そうではない/そのレベルに至っていないメンバーからすると、抽象度が高すぎてもっと具体的な数値目標があったほうが「楽」ということになります。

そう考えるとKPIを土台とした目標設計でもOKR的なアレンジが可能ではないでしょうか。トップダウンでおろされた目標を再度メンバー側でその背景や数値ロジックを捉え直す。そうすることで、自分の数値が事業に対してどのような役割を担っているかを正しく理解し、そのつながりを定期的に確認する作業を実施する。具体的な数値目標がOKRでいうところのOの部分として捉え直すということになります。

個人的にはKPIなのか?OKRでなのか?ということではなく、メンバーとマネジャーの間でこのような「視座の違い」で起こりがちな問題を解消する努力をし続けることのほうが大事かと思います。マネジャー側はメンバーが盲目的に数字を追いかけるだけではなく、そのさきのつながりを意識して活動できているかを常に問いかける姿勢が大事です。一方で、メンバーは具体的な数値目標を追いかけつつも、そのさきのつながりに疑問を覚えたのなら、目標自体の見直しをマネジャーに相談する姿勢が求められます。

そこで、このあたりの柔軟性を担保するのに必要なのが1on1の運用です。週1回などの高頻度で運用することが肝です。注意しなければならないのは、アジェンダを足元の進捗を確認する機会に偏りがちだというポイントです。そうなると、上記のような目標を見直すような機会は得られにくくなります。そうではなく、あえて足元の進捗を劣後させてもう少し抽象度の高いところをアジェンダにする必要があります。

1on1ではこうしたアジェンダの設定が非常に重要になるので、特にリモートワーク下では30分×2回/週の方法を取り出している企業も増えているようです。週に2回運用するということですから、1回は進捗用に、1回はOKRやキャリアについての話をするということを決めておくといいかもしれません。(完)

 

◆取り上げた書籍

 ◆参考にした書籍

具体と抽象 ―世界が変わって見える知性のしくみ

具体と抽象 ―世界が変わって見える知性のしくみ

  • 作者:細谷 功
  • 発売日: 2014/11/27
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)