転職・キャリアを考える上で読んでおきたい本10選(後編)

さて、前編ではキャリアを考える上で示唆が多い、キャリア論について主軸で書かれている本を紹介しました。後編では、キャリアのことを主題で書いているわけではないけど、キャリアを思考する上で金言が書かれている本を紹介したいと思います。

 

キャリアを思考する上で刺激になる本

どんな業界でも記録的な成果を出す人の仕事力

どんな業界でも記録的な成果を出す人の仕事力

  • 作者:伊藤 嘉明
  • 発売日: 2015/08/21
  • メディア: 単行本
 
  • 社長になるには、マーケティング、営業、オペレーションを経験する必要がある
  • どれだけリサーチや議論を積み重ねても、自分は「欲しい」「わくわくする」と思わない商品を作るべきではない

 

フロー体験 喜びの現象学 (SEKAISHISO SEMINAR)

フロー体験 喜びの現象学 (SEKAISHISO SEMINAR)

 
  • *フロー:1つの活動に深く没入しているので、他の何ものも問題にならなくなる状態。その経験それ自体が非常に楽しいので、純粋にそれをするということのために多くの時間や労力を費やすような状態
  • 幸福の探求に関する限り、部分的な解決は無効である
  • 人類が一挙に物質的な力を1000倍に増やしたにもかかわらず、経験の内容を向上させることについてははるかに立ち遅れている(から、生活に希望を持てないように思える)
  • 徐々に自分を社会的報酬から解放し、それを自分自身の支配下にある報酬に置き換えることによて解放は得られる
  • 人は同じことを同じ水準で長時間行うことを楽しむことはできない。我々は退屈か不満を募らせ、再び楽しもうとする欲望が能力を進展させるか、その能力を用いる新たな機会を見出すよう自分を駆り立てるのである
  • フローを体験する上での次の障害は、遺伝的障害ほど大きはないが、自意識の過剰である
  • トーマス・カーライル「自分の仕事を見出したものは幸いである。それ以外の祝福を求めてはならない」
  • 仕事における3つの不満①変化と挑戦の欠如②他者、特に上司との摩擦③もえつき(ストレス)

 

  • 人を奮い立たせるような挑戦しがいのある「良いアジェンダ(課題)」を設定するリーダーのもとでは、成長につながる「良い経験」が得られる一方で、なんの意義・意味も感じられないようなアジェンダしか設定できない三流のものとでは、成長につながる良質な経験は得られず、スキルや人格の成長は停滞することになります。つまり、「凡人」のもとでは、「凡人」しか育たないということです。
  • 社会で実験を握っている権力者に圧力をかけるとき、そのやり方には大きく「オピニオン」と「エグジット」の二つがあります。
  • (なぜオピニオンとエグジットを活用できないのか)1つめが、「美意識の欠如」です。自分なりの美意識、つまり審美眼、道徳観、世界観、歴史観を持っている人は、明確な「許容できる、できない」という一線を持っているものです。
  • (2つめがモビリティ)「モビリティが高い」ということは、場所によって自分の正味現在価値が変わらないということであり、「モビテリティが低い」ということは、スキルや知識の文脈依存度が高く、場所によって大きく自分の正味現在価値が変わってしまうということです。
  • トラストがなければ、どんなに頭脳名声なビジョナリーであっても、組織を率いることはできない、と。(中略)だからこそリーダーには人望が求められるわけですが、権力格差の大きい国では、たとえ人望がなかったとしても、組織で上のポジションにあれば、権力を発揮して人を付き従わせることできます。
  • 問われるのは、「あなた個人はどのようにして組織に貢献するのですか」ということであり、単に年を食っている、経験年数が長いということだけでは、ドヤ顔のできない時代がやってきつつある、ということでしょう。
  • サーバントリーダーシップのエッセンスは「支援」です。リーダーシップを発揮してイニシアチブを取ろうとしている若手・中堅に対して、オッサンならではの人脈・金脈・ポジションパワーを持ち出して、この若手・中堅を「支援する」というのがサーバントリーダーシップの、まずは「わかりやすいカタチ」です。
  • 人材を育成できなていないということは、「良い業務経験」を積ませてあげられていない。ということです。
  • 「チャレンジ」には「時間や能力の集中」という要素がつきものであり、したがって「それまでにやっていたことを一旦止める」といいうことが必然的に求められます。
  • なんども繰り返して失敗すれば「こういうときはやばい」という失敗の勘所がつきます。この勘所をセカンドステージでつかむことが重要なのです。
  • どこでも生きられる、誰とでも働けるという自信が、オピニオンとエグジットの活用へとつながり、これが権力をけん制する圧力ともなります。

 

  • 重要なのは、「人々が自分に対して持っている、自分に都合のいい思考の錯覚」は、一種の資産として機能するということだ。これを「錯覚資産」と呼ぶ
  • 結果として、数年後には、実力においても、錯覚力タイプが、実力タイプを追い抜いているのだ
  • 錯覚資産を持たない人間には、発言の機会さえ与えられないのが、世の中というものなんだ
  • あなたがハロー効果に汚染された直感で誤った判断をしたとしても、組織の上から下まで、みんな同じ過ちをやっているので、あなただけ特別不利になることはない
  • あなたは、あなたの人生の経営判断を、是が非でも間違えるわけにはいかない。だから、自分の人生の選択をするときだけは、徹底的に思考の錯覚の汚染を除去して、研ぎ澄まされた直感と論理的思考で、ほんんとうに正しい判断をしなければならないのだ。
  • よく「失敗は成功の母」などと言われるが、実際には、成功の方がはるかに成功の母
  • 錯覚資産を手に入れるには、成功する必要があるよね?▶︎まずはいろんなことに小さく賭ける。チャレンジして成功するかどうかなんて、運次第だから、たくさんチャレンジするしかない。
  • ほとんどの人は、本当の実力など、わかりはしない。1時間や2時間の面接で、実力がわかるなどと思うのは、かなりの部分、思考の錯覚だ。ほとんどの人は、本当の実力ではなく、思考の錯覚で人を判断する。
  • 才能があるかないかなんて、自分にも他人にも、そうそう見分けはつかない。(中略)未来のヒットが、過去にさかのぼって、現在のあたなの才能のあるなしを書き換えるのだ。
  • コントロールしたいから、コントロールしているのだ。コントロール欲求は、食欲や、性欲や、睡眠欲と同じくらい。基本的な欲求なのだ。(中略)しかし、もし成功が、単なる偶然によるものだとしたら、あなたは「コントロール」できなくなる。それはあなたにとって、大変な苦痛だ。あなたの健康は阻害され、やる気をなくし、不幸になって行動しなくなってしまう
  • 誰がどう見ても無能、もしくは誰がどう見ても明らかに有能でもない限り、実力という要素の影響力を、自分が思っているものの半分くらいに見積もった方がいい。
  • 判断が難しい時、人間は考えるのを放棄して、直感に従ってしまう。しかし、判断が難し時こそ直感はアテにならない。なぜなら、判断が難しい時に直感が出す答えは、思考の錯覚に汚染されていることが多いからだ。だから、判断が難しい時は、「思考のねばり強さ」が決定的に重要になる。「思考のねばり強さ」がない人間が、難しい問題について考えん抜くのを放棄して、思考の錯覚の泥沼に沈んでいくのだ。判断が難しくても、不確実性が大きくても、安易に思考を放棄してデフォルト値を選んでしまうことなく、粘り強く考え抜かなければならない。
  • 成果をアピールするスキルが高く、アピールする努力を十分にやっている場合、それはより大きな錯覚資産になる。単にやみくもにアピールするだけじゃなくて、ディシジョンメーカーへの印象付けをうまくやることが重要だ。
  • 自分の優秀さをアピールするより、自分がどういうポジションなら力を発揮できるかの、具体的なイメージを相手にインプットする方がいい。できるだけ多くの人が、自分のことを「思い浮かびやすく」しておくと、意外なところから意外なチャンスが降ってくることがある。
  • CVRが低い人は、PVを増やすことを嫌がる傾向にあるということだ。(中略)ある程度の実力が身についたら、まだCVRが低くてもじゃんじゃんPVを増やしてしまう戦略の方が、結局効率がいい。CVRが10分の1でも、PVが10倍なら、コンバージョン数は同じだからだ。だから、実際には、「まだ実力が低いくせに、あちこち自分を売り込むような恥ずかしい奴」とバカにするような人間の方がバカなのだ。最後に笑うのは、そういう一見バカにみえる恥さらしな行動をした人間なのだから
  • くれぐれも、強い、美しい、豊か、健康、賢い、などの現実世界におけるプラスの価値自体を、自分の脳内で否定したりしないように、注意深く自分の無意識を見張る。
  • 大きな錯覚資産を手に入れたいなら、「一貫して偏ったストーリー」を語らなければならない。「シンプルでわかりやすいこと」を、それが真実であるかのように言い切ってしまえ。本当は断定できないことを、断定してしまえ。

 

メモの魔力 -The Magic of Memos- (NewsPicks Book)

メモの魔力 -The Magic of Memos- (NewsPicks Book)

  • 作者:前田裕二
  • 発売日: 2018/12/24
  • メディア: Kindle版
 
  • その人自身に切羽詰まった問題意識、すなわち転用すべき他の具体的課題がないと、単なるゲームで終わってしまう(中略)「とくべき課題の明確化」は、抽象化の前段階において、ビジネスパーソンがまず向き合わねばならない問題かもしれません。
  • こんな情報があふれて混沌としている時代において、迷っていない人は最強です。お金のあるなしに関係なく、やりたいことが明確な人が一番幸せだと思っています
  • 「これは自分にとって不変の価値観だ」と感じられるような、自分を一本貫くような人生の軸を一度見つけられたら、それは生涯変わらない可能性が高い。その軸を前提にした問いを立て続けることもできる。

 

以上、僕がキャリアを思考する上で影響を受けた本10冊を紹介いたしました。こうした本は、日々の自分の変化に合わせて振り返って読んでみると、気づくポイントや思考のきっかけになる部分が変わったりするので、どんなことが主張されている本だっけ?を理解しておくと、いざ思考を深めたくなったときに捗りますよね。みなさんもおすすめの本があれば教えていただきたいです!(完)