苦手な「スピーチ」は失敗談を取り入れると上手くいく?(参考書籍:TEDトーク 世界最高のプレゼン術)

日常の中でのスピーチの機会

皆さんは日々の生活の中で、スピーチをする機会はありますか?

プライベートでは結婚式くらいしか思い浮かばないですが、仕事ではスピーチの機会が結構あります。

具体的には、

●朝会などの社内ミーティング

●期が変わった節目のタイミングでの部門総会

●メンバーの入社、退職の際

●マーケティング施策の一環としてのセミナー

などがそれに当たります。

いずれも毎回緊張するので得意だとは思いませんが、思考して準備したものをアウトプットするという場では、いい環境をもらっているなと思います。

また、スピーチ自体は経験を重ねるごとに慣れてきている感覚があって、たまに複雑な構成にチャレンジして失敗してます。笑いをとりにいこうとして失敗することも多々。ここで言う「慣れ」とは、スピーチ自体が上手くなってきているということではありません。それは、過度に聞き手の反応に期待して心を取り乱すのではなく、ある程度身の程を知って、聞き手の反応を冷静に受け止めることができるようになってきた、ということです。

 

スピーチの3つの種類

スピーチのことを考えるにあたって、スピーチがどのような種類があるのかを、「話し手と聞き手の関係値」によって下記の通り3つの種類に分類してみます。

(1)継続的な関係(社内でのスピーチなど)

(2)初対面、一時的な関係(講演会やセミナーなど)

(3)1と2の混合型(節目の挨拶や結婚式など)

 

スピーチの構成を考えるときに、これらの観点は非常に大切です。

例えば、話し手のことの認識がない/少ない「(2)一時的な関係」または「(3)一時的な関係を多く含む」場合は、自己紹介がカギを握っています。

結婚式は、主役である新郎新婦との関係値を具体的なエピソードと共に伝えられるか、セミナーでは特定の分野において自分が信頼に足る存在だと理解してもらえるか、がそれぞれ重要です。(※僕は結婚式の友人代表のスピーチで、その前提をサボってしまいなんとなくふわっとしたスピーチになったことがあります)

こうした類のスピーチが世の中的には一般的なものとして扱われており、手にとった『TEDトーク 世界最高のプレゼン術』はまさにそんな本でした。この本は、TEDというテクノロジー、エンターテインメント、デザインの分野のアイデアをAppleの記者会見ばりの手ぶら感でおしゃれにプレゼンする番組の(紹介するまでもありませんが)、プレゼンターたちを分析したプレゼンハウツー本です。

当然ですが欧米流のプレゼン手法なので、日本で応用するのが難しい部分もありましたが(表情で笑う箇所を教える、など)、参考になる箇所も結構ありました。その一例を上げておきます↓。

●核となるアイデアをはっきりさせ、ほかは捨てる

●自分以外の誰かをヒーローにする

●WHYやHOWの質問から始める

●自虐的なユーモアは簡単で効果絶大

 

一方で、(1)の場合は、自分の認識を前提としつつ、その認識を客観的に理解した上での内容構成が重要になってきます。よって、個人的には(1)継続的な関係を対象とするスピーチが一番難しいと思っています。

 

「失敗談」こそ最強のスピーチ術?

3種類のスピーチの全てに有効

改めて考えると継続的な関係の中でスピーチするという行為は、「点と面」ではなく、「点と点」の掛け算だから難しいと捉えることができます。

前章であげた自分の認識レベルの低い対象に対しては、面でのアプローチが可能です。前提条件がほぼないので「認識レベル1」から話を始めればいい。一方で、継続的な関係地の場合は、点Aと点B、点Aと点Cの距離はそれぞれ違います。例えば、同じチーム内のメンバーと隣のチームのメンバーでは、認識レベル3の人もいればレベル10の人もいます。内輪話をすればいいかと言うとそうではありません。内輪話は認識レベルの低い外輪の人からすれば最も寒い話です。

では、どうすればいいか。それは「失敗談」を話すことです。おそらく、どんな立場の人であろうと失敗談を話すことがスピーチにおいては勝ちパターンであることが多いです。

TEDの本にも書いてあった通り、失敗談は「自虐的な」話でもあります。また、失敗談には何かしらの「学び」もセットでついてきます。失敗談自体は、自慢でも内輪話でもありませんし、そこから得た学びは、失敗談があることで説得力を増します。

お笑い芸人の方々は、失敗談=ネタとしてネタ帳に宝として刻まれる対象とします。これは、失敗談が一般的にトークのネタとして好まれることを意味しています。

 

失敗するためには挑戦すること

しかし、ネタ帳にわざわざ書くくらいですから、案外、失敗するのは簡単なことではありません。少なくとも同じような毎日、同じような生活では、人間は賢いので失敗することはあまりないでしょう。そう考えると、新しいことに挑戦したり、昨日とは違う一日を過ごすことが、格好のトークのネタを用意してくれると言えそうです。

読書で新しい知識を身に着けたりすることも話のネタとしては面白いですが、実は自分事ではないのでスピーチのネタとして成り立たせるのは難しい。そこに失敗談という「自分の経験」がセットになることで、その人が話すべき理由が生まれるのだと思います。

たとえ、自分の認識レベルが揃わない環境でも、失敗談であれば、勝手にその人のレベルで解釈してくれるのだと思います。失敗談を見つけて、そこから得られた学びをアウトプットする習慣をつければ、仕事の質自体も向上してくるかもしれません。(完)

 

◆本ブログで紹介した書籍 

TEDトーク 世界最高のプレゼン術

TEDトーク 世界最高のプレゼン術